2016年01月

NOTE:真冬の美篶

1月30〜31日、美篶堂さんの「本づくり学校」のお仕事で長野を訪ねました。

長野・伊那は、かれこれ3度目。少しずつ、通いなれてきた旅路です。同じ土地のいろんな季節を味わうと、だんだんその場所が自分のなかに根づいていくように感じます。今回は、真冬の美篶。畑や田んぼ、路肩には雪が積もっているものの、よく晴れた週末で、日なたの道はすっかり乾いていました。

2日目は時間に余裕ができ、美篶堂の上島明子さんおすすめのグリーンファームへ。野菜や果物がどっさり並ぶ、産直市場です。馬肉や鹿肉、イナゴやハチノコなど、長野ならではのめずらしい食材も。わたしはこのあたりに手をのばす勇気がでなくって、地元産の真っ赤に熟したいちごを買いました。

グリーンファームのもうひとつの見どころは、敷地内で暮らす動物たち。とにかくヤギがそこらじゅうに。馬、ロバ、ダチョウも、顔がふれあうくらいの距離感。懐かしかったのは、ウサギ小屋やチャボ小屋。それからなんと、クマも。平成14年生まれの人間に育てられた月輪グマで、熊野太郎というそうです。胸にでるはずの白い斑紋はまだなくて、ただただ真っ黒。藁にくるまれ、おっとり昼寝をしていました。

さんざん楽しんだあとは、グリーンファームから伊那駅までのんびり歩きました。およそ40分。途中でミニバンに乗ったおじさんが話しかけてきて、てっきり「駅まで乗ってくかい?」といわれるのかと思いきや、「赤い手袋落とさなかったかい?」と聞かれただけでした(わたしのじゃありませんよ)。それにしても、今回は、随分ディープに伊那を味わったような気がします。

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AYA NAGAOKA
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NOTE:ニューヨークをもう一度

ニューヨークのこと、まだまだいろいろありますが、このへんで最後にします。

旅から戻ると、いろんなひとに「どんなところだった?」と聞かれます。インスピレーションの宝庫、動きはじめずにはいられない街、複数の顔をもつ多重都市……いろんなことばが浮かびますが、素直な気持ちとしては「もう一度行きたい場所」です。こころ残りがあるということではなく、そこに身をおいて時間を過ごすほどに発見がありそう、ということ。旅というよりも、例えば1年に1〜2ヶ月はニューヨークで過ごしてたっぷり刺激を受ける、とかね。とても実現しそうにありませんけど(笑)。

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NOTE:ニューヨークの本づくり

昨年末から旅したニューヨークのことを。

製本をはじめてから、旅先で本づくりにまつわる場所を訪ねるという楽しみができました。材料になる素材を探したり、インスピレーションをくれる本屋さんにでかけたり。製本という切り口がひとつ加わることで、旅がうんと自分らしくなるようで。ニューヨークでも、いろんな発見がありました。

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まずは、マンハッタンにある THE CENTER OF BOOK ARTS。普段はギャラリーでアーティストブックや工芸製本の展示が見られたり、手製本や活版印刷のワークショップが行われたりしているのですが、年明け早々はなにもやっておらず……。

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なにもやっていないというのに事務所を訪ね、お願いして内部を見学させてもらいました。旅って、いつもより大胆になれるから不思議。こちらは製本スペース。使いこまれた道具がそこここに。こんな場所があったら、毎日でも通いたいです。

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活版印刷スペースは、奥のほうに。大小の印刷機がいくつも並び、この向かい側にある引き出しには、多種多様な金属活字や木活字がびっしりと収められています。とにかくものすごい数! 窓から見えるくすんだレンガが、ニューヨークっぽいですね。

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こちらはブルックリンのはずれにある製本資材卸業者、TALASのウェアハウスショップ。「本当にここ?」というビルの扉をどきどきしながら開けると、あらゆる種類の道具や素材がところせましと並んでいました。

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スーツケースに収まる限界サイズのフィニッシングプレスなど、日本では手に入りにくいものをいろいろと購入しました。入り口の掲示板には、デザイン事務所のスタッフ募集や、クリエイターズショップのカードなど。なんて素敵!

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観光スポットでもあるMORGAN LIBRARYでは、息をのむほど美しい本を観賞。手にとっては見られないものの、趣向を凝らした背表紙に製本職人たちのプライドを感じます。書物が収集品だった時代は、表紙よりも背表紙が大事だったのですね。

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公共施設であるニューヨーク市立図書館ものぞいてみました。エントランスのライオン像がシンボル。背表紙にそのライオンが箔押しされている大判の上製本は、蔵書目録だそう。通称 "BLACK BOOK"。とても凛々しいです。

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最後は、アーティストやクリエイターの自主制作本ばかりを扱うちょっと変わった書店、PRINTED MATTERへ。タイトル数、およそ15,000! 特殊印刷、変型、立体、箱、封筒……コンテンツもフォルムも自由すぎる本がいっぱいです。

たくさん刺激をもらい、いますぐにも手を動かしたい気持ちで帰ってきました。とはいえ、2週間休んだあとはひとまず一生懸命働かなくては。少し落ち着いたら、ゆっくりと思い返し、製本時間をつくりたいと思います。

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NOTE:ニューヨークの蚤の市

昨年末から旅したニューヨークのことを。

海外でも国内でも、どこへ旅するにしてもいつも楽しみにしているのは、蚤の市とローカルなスーパーマーケットをめぐることです。ニューヨークは、スーパーマーケットには期待できそうだけど、蚤の市はやっぱりヨーロッパが本場かな、なんて思っていましたが……。この予想は、うれしいことに裏切られました。

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こちらはブルックリンのFREA。おしゃれさんがいっぱいで、古着や雑貨もクオリティの高いものがたくさん。寒い季節は屋内で開催されるので、凍える心配もありません。この冬は、遠くに自由の女神が見える海沿いの古いビルが会場でした。

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文房具や生活道具をそろえたお店。スコヤや目打ちなど、製本に使えそうな古道具を見つけました。きちんとメンテナンスされているわりには、良心価格。気前のいいお兄さんが、さらにおまけしてくれました。

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こちらはヘルズキッチン。いわゆるガラクタ市ですね。滞在していたエリアから近かったので、散歩がてらのぞいてみました。お買いものには至りませんでしたが、遠くに見えるカラフルなビル街とのコントラストは、なかなかの眺め。

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チェルシーもまた、ガラクタ市。オイオイとつっこみたくなるようなものが大半なのに、いっちょまえに入場料がかかります(1ドルですけど)。でも、あきらめてはいけません。そのなかにぽつんと光るかわいい露店があったりして。困難を乗り越えての発掘こそが、醍醐味です。ここでは、古い方眼紙の束と大きな刷毛を買いました。

週末のお楽しみである蚤の市は、旅の間にまわれる数が限られているのがつらいところ。ニューヨークには、まだほかにもいくつかあるようです。スモーガスバーグと呼ばれる食の市もおすすめ。今度は、ぜひあったかい季節にまわりたいです(震)!

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NOTE:ニューヨークの街歩き

昨年末から旅したニューヨークのことを。

ニューヨークって、どんなイメージでしょう? その昔、出張で数日間滞在しただけだったわたしは、展示会場とさびれたホテルの行き来ばかりであまり街を歩くこともないまま、ちょっと乾いた印象をもっていました。

ちょっと乾いた、というのは、ひととひとの関係性の湿度の低さとでもいえばいいでしょうか。下手にふれるとパチッと静電気が起きて、気をつけていないと火事になってしまうような。都市独特の無関心や、人種の異なるひとびとが絶妙な距離感で共存していること、特定のエリアは非常に危険だということ……ニュースや小説に影響されたイメージが重なって、こんな印象に結びついていたのだと思います。

2週間過ごしてみて、事実、街にはときに乾いた風が吹くものの、そこに暮らすひとびとはそれをやりすごすための知恵や機転、やさしさをもっているということを知りました。スーパーのレジのおじさんが「ほしいものぜんぶ見つかった? 探せなかったものない?」と声をかけてくれたり、美術館のクロークのお姉さんが「どうたった? 楽しかった?」と聞いてきたり。自分の名前を漢字で書いてほしいといってきた洋服屋のお兄さんは、お礼に「おいしいパン屋があるから教えてあげる!」と地図を描いてくれました(ちなみに、アランに「安蘭」という字をあてました)。知人の紹介で出会った世界の第一線で活躍するアーティストさんは、初対面のわたしたちをスタジオに招待して、いろんな話を聞かせてくれました。

事務的なやりとりからはみだした、ちょっぴりおせっかいで、余計なコミュニケーション。それって、ニューヨークのひとびとにとっては普通のことなのかもしれません。でも、わたしにはとても新鮮で、「あぁ、いい街だな」と感じる理由のひとつになりました。次第に街を歩くのが楽しくなって、自分の体力も顧みず、ずんずんと行きすぎては泥のように眠るのが日課に……。

写真は、そんな街歩きのたまもの。マディソンスクエアパークのリスは、寒いなか、元気にぴょんぴょん走りまわっていました。

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EDITORIAL:『増補版 製本工房・美篶堂とつくる文房具』

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1月23日、『増補版 製本工房・美篶堂とつくる文房具』が発売となりました。初版は2010年。今回は約5年半ぶりの「増補版」として、新しいコンテンツ「フランス装のブックカバー ーひとつ目綴じノートを添えてー」が加わっています。

まだ会社員だったころ、いちファンとして愛読していたこの本。いろんなご縁がつながって、増補版の制作に携わらせていただくことになりました。思いがけない展開に、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。

製本というと、ちょっと特別なことに感じるかもしれません。でも、ノートやアルバム、ブックカバーなど、毎日使う文房具をつくる技術でもあります。「小学生のころ、図工の時間が好きだったな」なんてひとなら、きっと楽しめるはず。この本が、そんな身近で気軽な手製本への入り口になったらうれしいです。

Title: Misuzudo to Tsukuru Bunbougu
Publisher: KAWADE SHOBO SHINSHA
Pub Date: Jan. 2016

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EDITORIAL:『美篶堂とつくる 美しい手製本』

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1月15日、『美篶堂とつくる 美しい手製本』が発売となりました。2014年の春から取材させていただいた「本づくり学校」の書籍化です。

巻頭では、この道60余年・美篶堂の上島松男親方が、手製本の基本を手ほどき。製本の経験があるひとほど、親方の姿勢、指の角度、ひとつひとつ参考になるところがあると思います。紙の折り方、糊の練り方、刷毛の運び方……こうした一見簡単そうで、実は手製本の要である部分を丁寧に伝えたくて、たくさんページを割きました。

本編では、本づくりにまつわる12のレッスンを収録。角背上製本にはじまり、糸かがり本、ブックケースや夫婦箱まで、さまざまな本づくりが体験できます。後半には、嘉瑞工房の高岡昌生さんによる活版印刷、製本マイスターの青木英一さんによるクライスターパピアも。まさに、「本づくり学校」の授業を受けているような気分でページをめくり、手を動かしてもらえたらうれしいです。

長い時間をかけて取材してきたことが、とうとうカタチになりました! 尊敬するみなさまとともに、しかも大好きな製本のための書籍づくりができたこと、本当にうれしく思っています。わたしの編集者人生(というほどのものではないですが)のなかでも、忘れられない1冊になりました。

Title: Misuzudo to Tsukuru Utsukushii Teseihon
Publisher: KAWADE SHOBO SHINSHA
Pub Date: Jan. 2016

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NOTE:美しき活字たち

今日は、活字鋳造工場の取材でした。

東京・早稲田の工場にお邪魔して、撮影したり、お話をうかがったり。「本づくり学校」の取材をとおして活版印刷の工程を見せていただく機会は何度かあったものの、活字が鋳造されるところははじめて。工場2階の鋳造スペースへの階段を昇ると、往年の鋳造機が小気味のいい音を立てて動いていました。動くたび、鉛合金が瞬時に固まり、新たな活字が生まれていきます。

写真は、「判面見(はんめんみ)」という道具で、できあがった欧文活字の列が整っているかをチェックするためのものだそう。昔ながらの道具や機械というのは、それ自体が美しく、なんだか愛嬌のある佇まいをしていますね。今回の取材では、こんなかなりマニアックなところまで見せていただきました。

職人の手によるものの素晴らしさと希少さを知るほどに、その文化と技術が失われつつあるという現状へのもどかしさも増していきます。けれども、こうして取材し、写真や文章にしていくことが少しでも役に立つことを信じて、丁寧に原稿を書きたいと思います。ただいま制作中の「本づくり協会」の会報誌にて、記事となる予定です。

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NOTE:仕事するって気持ちいい

今日は、東京・蔵前にて撮影でした。

正直いうと、まだ時差ぼけが解消されていなくて、晩ごはんも食べずに寝てしまったり、真っ暗なうちに目覚めたり、わけのわからない生活をしています。それでも、2週間も海外であそびほうけていた頭とこころとからだには、ひさびさの仕事がとてもすがすがしく、気持ちのいいものに感じられます。

今日の撮影はほとんど屋内でしたが、少しだけロケも。見上げた空は、雪が積もった翌日とは思えないほど青く、白い月が浮かんでいました。

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NOTE:美篶堂さんの「本づくり学校 応用科」第8回目

1月16日、美篶堂さんの「本づくり学校 応用科」第8回の取材がありました。

今回は、"EINBUCH" の毛利彩乃さんを講師に迎えての「糸かがり」の授業。応用科で学ぶのは、"BROSCHUR STITCH HEFTUNG" というドイツの手法です。針を運ぶ順番がちょっぴりややこしいものの、3時間後には、美しいかがりができあがりました。見ているだけではわからないところもあり、わたしもやってみようと夜な夜な手持ちのリネン糸をとりだしたものの、睡魔に負けてしまいました。

昨年5月にはじまった応用科も、あとは2月に長野・美篶での製本合宿を残すのみとなりました。そして、基礎科から数えれば約2年におよんだ取材は、これにて終了です。なんだか、わたしも一緒に卒業するみたいな気分です。

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▼ 本づくり学校のブログはこちら
http://hondukuri.tumblr.com

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NOTE:おめでとう、ありがとう、そしてただいま

新年のごあいさつもしないまま、1月も半ばとなってしまいました。

1月14日、アメリカ・ニューヨークから戻りました。14日は誕生日。飛行機が飛び立ったのは13日の午後で、機内ですやすやと眠っている間に、気づけばひとつ年をとっていました。到着後は、このご時世の海外行きを心配していた家族に電話。「あけましておめでとう」と「お誕生日おめでとう」と「おかえり」をいっぺんにいってもらえるなんて、しあわせですね。

ニューヨークでの2週間は、期待していた以上に楽しいものでした。美術館やギャラリーは、ここが世界のアートの中心だといわんばかり。図書館や本屋さんもおもしろくて、意外にも製本の素材や道具が見つかったり。蚤の市はやっぱりヨーロッパがいちばんだろうと思っていましたが、ブルックリンのFLEAは毎週通いたいくらいのクオリティ。食べものもおいしくて、旅先からメールした写真を見た母親に「ひとまわり大きくなったね」といわれました。あぁ、そしてなにより、出会うひとがみんなフレンドリーであたたかかった……。

書きたいことがいっぱいあるのですが、2週間たっぷりあそんできたので、まずは一生懸命仕事をしなくてはなりません。今日はこのくらいにして、またあらためて!

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