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NOTE:さすらいの日本海

先週のできごと、つづります。

あまりの愚かっぷりに、ショックというよりむしろ飽きれ、脳が記憶を消去しようとしていたのですが……。自分への戒めとしてここに書いておきます。

とある地方の駅から特急電車に乗り、そこから新幹線に乗り換えて、目的地へと辿り着く予定でした。直前の仕事があっという間に終わり、予定よりも随分早く駅に着いてしまったわたし。とはいえ、特急は1日数本で、待つしかありません。周辺にカフェなんてない、ちいさな駅です。待合室でスマホをいじったり、用もないのにキオスクをひやかしたり。それでも時間を持て余し、電車がやってくるはずのホームのベンチに腰を落ち着けることにして、文庫本を開きました。

最初はちらちらと時計に目をやりながら読んでいました。でも、小説の吸引力ってすごい。しばらくすると、完全に物語の世界に没頭し……。ふと顔を上げると、乗るはずだった特急がホームの彼方でちいさくなっていました。はい、乗り遅れたんです。

待ちに待った特急がホームに滑りこんできたとき、わたしは、聖地マハバード奪還に向けて武装蜂起するクルド人の運命にこころを奪われていました(イスラム革命をめぐる小説だったのです)。イランの山岳地帯から現在地へ戻るも、すぐには状況が理解できず、思わすつづきを2〜3行読み進めてしまったくらい。ひとの乗り降りがあって、発車のベルも鳴って……それでもまったく気がつかなかった自分が怖いです。

結局、特急券をにぎりしめたまま、ひたすら鈍行列車を乗り継ぐことになりました。乗り換えては30分待ち、乗り換えては30分待ち。これを4回くり返し、本来なら3時間のところを5時間半かけて日本海沿いを南下。車窓を流れる穏やかな海を眺めながら、「これはこれでよかったな」と、強がりな台詞をつぶやきました。

小説を読むのをやめることはできませんが、自分がこういうことをやらかしがちな人間だということを、常に肝に命じていなくてはなりません。ということをすっかり忘れてしまうから、こんなことになるんですけど(涙)。

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AYA NAGAOKA
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